ニュース

閉塞性のFLUTDを抱えた猫における急性期タンパク質の評価

投稿者:武井 昭紘

下部尿路疾患(Feline obstructive disease of the lower urinary tract、FLUTD)は、猫で一般的に見られる泌尿器疾患であり、炎症を伴った腎機能、電解質、酸塩基平衡などの異常を来すこともある病的現象である。また一方で、急性期タンパク質(Acute-phase proteins、APP)は、組織の炎症の程度を評価し、治療効果判定や経過観察に利用される検査項目として普及している。

 

冒頭のような背景の中、ブラジルの大学らは、臨床上健康な猫8匹と閉塞性のFLUTDに罹患した猫17匹を対象にして、APPを含む臨床検査所見を比較する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆閉塞性のFLUTDを抱えた猫における急性期タンパク質の評価◆
・尿閉解除前において、SAA、AGP、フィブリノゲンはBUNとCREと正の相関関係にあった
・尿閉解除前において、ALBは血尿の程度、SAA、Kと負の相関関係にあった
・尿閉解除から48時間後において、SAAとAGP・フィブリノゲン、AGPとBUN、フィブリノゲンとBUN・CRE・AGPは正の相関関係にあった
・尿閉解除から48時間後において、ALBとBUN・CREは負の相関関係にあった

 

上記のことから、APPは、閉塞性のFLUTDを患った猫の病状を評価する有用なマーカーであることが窺える。つまり、組織の炎症が、当該疾患の重軽症を左右していると考えられるのだ。よって、今後、尿閉の解除に続く抗炎症療法がFLUTDの経過を良好に保つか否かを検証する研究が進み、罹患猫が早期に回復し、1日でも早く退院するための治療法が再考されることに期待している。

本研究におけるAPPは、ELISAを用いたキットで測定されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35191061/


コメントする