ニュース

犬が消化管のびらんや潰瘍を抱えることに関わるファクターを調べた研究

投稿者:武井 昭紘

機械的な要因、腫瘍、免疫の異常、薬剤。様々な原因によって、犬は胃や十二指腸にびらん・潰瘍(gastroduodenal ulceration or erosion、GUE)を抱える。では果たして、多岐に渡る原因のうち、何れが「そのリスク」を高めるのか。それを明らかにすることは、犬の消化器診療の発展に寄与するものと思われる。

冒頭のような背景の中、Texas A&M大学は、GUEの犬(①)とGUEを抱えていない犬(②)、それぞれ160匹以上の診療記録を解析する研究を行った。すると、ステロイドの投与で3倍、機械的な要因(異物、胃拡張・捻転)で約5倍、NSAIDの投与で約6倍、腫瘍で約14倍、GUEが発生しやすくなることが判明したという。また、交雑種に比較して使役犬(working dog breeds)では約3倍、GUEを起こしやすいことも分かった。

上記のことから、該当する疾患および薬剤の使用において、GUEの有無に注意を払うことが重要だと考えられる。また、使役犬がGUEの発症リスクを持っている理由を調べることが課題だと言える。よって、その理由を突き止める研究が進み、GUEの予防法に新たな知見が加わることに期待している。

②に属する犬たちは剖検で「GUEが無い」ことを確認されているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34596276/


コメントする