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マレイン酸オクラシチニブのチュアブル錠の使い勝手を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

薬剤全般に言えることだが、小動物臨床において、投薬(内服薬の服用)は大きな壁となることがある。つまり、犬や猫をはじめとしたペットの嗜好性によって投薬の難易度が変動してしまい、内服薬を嫌っている個体への薬の投与は困難を極めるのだ。そのため、投薬がしやすい薬剤の開発が常に求められていることが現状となっている。

 

冒頭のような背景の中、世界的な動物用医薬品メーカーZoetis社は、アレルギー性またはアトピー性皮膚炎の治療薬マレイン酸オクラシチニブ(Apoquel®)のチュアブル錠の使い勝手を検証する研究を行った。なお、同研究では、アメリカに拠点を構える10件の動物病院に協力を仰ぎ、アレルギー性またはアトピー性皮膚炎を抱える犬120匹以上を対象にして、合計1600回以上にも及ぶ投与歴がデータ化されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆マレイン酸オクラシチニブのチュアブル錠の使い勝手◆
・全体の約92%(1500回以上)において、症例自らが5分以内にチュアブル錠を食べた
・8%(130回余り)では、投薬補助食品の力を借りて、且つ、5分以上の時間を要して投薬が完了した
・0.4%(6回)では、投薬に失敗した
・用量(0.4〜0.6 mg/kg)により変動はあるものの、90%前後の確率で投薬は完了できる

 

上記のことから、マレイン酸オクラシチニブのチュアブル錠の利便性は高いと考えられる。よって今後、投薬に時間が掛かった、あるいは、失敗したケースが詳細に分析され、より使い勝手の良い製品が完成することに期待している。

研究に参加した犬の年齢は1~14歳で、体重は約4~60kgだったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35300697/


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