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猫の非観血的血圧測定をスムーズに行うためのポイントに関するオンライン調査

投稿者:武井 昭紘

固まったり、震えたり、攻撃的になったり、逃走する。動物病院で診察を受ける猫は、様々な反応を示す。そして、それらが検査に与える影響は、時に大きくなる。その代表格が血圧測定だ。では、獣医師は、猫の血圧測定にどれ程の気を遣っているのか。また、彼らの血圧測定をスムーズに行うためのポイントとは何か。これらを明らかにすることは、猫および動物病院スタッフのストレスを軽減するために、大変重要だと思われる。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学らは、猫を診察し、且つ、非観血的な血圧測定法を利用したことのある獣医師700名以上を対象にして、猫の血圧測定に関するオンライン調査を実施した。すると、以下に示す事項が判明したという。

◆獣医師が行っている猫の血圧測定の状況◆
・回答者(獣医師)の96%が非観血的な血圧測定法を利用していた
・その測定の85%以上は動物看護師が担当していた
・約70%の獣医師が超音波ドップラー血圧計を好んで使っている
・超音波ドップラー血圧計を使っている獣医師の90%以上がオシロメトリーよりも信頼できると述べた
・非観血的な血圧測定法を利用している獣医師の90%が白衣高血圧の防止策(下記)を講じている
1.静かな場所で血圧測定をする
2.保定の力を最小限にする
3.他の処置・検査の前に血圧測定をする
4.他の動物が視界に入らないようにする
5.場に慣れるための時間を設ける
・猫の血圧測定を行わない4%の獣医師が述べる理由は下記の通りである
1.恐怖、不安、ストレスを抱えた猫の血圧測定の結果を解釈することが難しい
2.猫の血圧測定自体が技術的に難しい
3.血圧測定を行うスタッフが不快感を示す

 

上記のことから、防止策を講じて、超音波ドップラー血圧計を用いて猫の血圧測定を行うことが、業務を円滑にするポイントだと考えられる。よって、彼らの血圧測定の精度を上げたい、それに際して感じる猫とスタッフのストレスを軽減したいと願う動物病院の責任者は、超音波ドップラー血圧計の購入と血圧測定に適した場所の用意を検討して頂くと良いかも知れない。

防止策の実施状況(%)は、リンク先の文献をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/1098612X211067015


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