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犬の敗血症性腹膜炎をグルコースを用いて診断する方法に関する研究

投稿者:武井 昭紘

目の前で苦しんでいる犬が敗血症に陥っているかも知れない。その可能性を探る検査が進めることが重要だ。このような状況の時、血液などのサンプルを細胞診にて、あるいは、それを培養して細菌を検出・同定することが最も確実な検査になる。しかし、細菌が検出されなかった場合は、一体どうなるであろうか。これらの代わりに、敗血症の診断に利用できる検査はあるだろうか。

前述した背景の中、サリー大学は過去に報告された3つの研究をレビューし、犬の敗血症性腹膜炎の診断におけるグルコースの測定値の有用性を評価した。なお、同評価では、①血液中と②腹腔液中のグルコース濃度の差に着目している。すると、腹腔穿刺によって腹腔液が採取されていること、そして、術後ではないことという条件の下で、グルコースメーターによる測定で37.8 mg/dLを超える差(①>②)、生化学分析装置による測定で19.8 mg/dLを超える差(①>②)がある時、敗血症性腹膜炎だと診断できることが判明したという。

だが、同大学は、『①と②の差を単独の検査として用いることは出来ない』と述べる。『細胞診や細菌培養をゴールドスタンダードとし、様々な臨床検査所見とともに用いるべき』と結論付けた。カットオフ値が不安定で、感度が100%ではないことが理由だ。よって、今後、カットオフ値の設定と感度を上げることを目指した研究が進み、細菌が検出されなかった場合の代用検査として、①と②の差の算出法が確立することに期待している。

レビューされた3つの論文の詳細につきましては、リンク先をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://veterinaryevidence.org/index.php/ve/article/view/382


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