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猫の拡張型心筋症とフードの関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

現在アメリカでは、犬の拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy、DCM)とフードの関連性について、注目が集まっている。つまり、フードに含まれる何らかの成分が、あるいは、フードに不足している成分が、彼らのDCMの発症リスクを上げていると考えられているのだ。では、犬と同じくヒトに飼育されている猫では、どうなのだろうか。それを明らかにした調査が、アメリカの大学および動物病院らより発表された。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆猫の拡張型心筋症とフードの関連性◆
・2年間を要して、循環器専門医から猫のDCM症例に関する回答を50件以上集積した
・多くの専門医が症例のオーナーにタウリンの測定とフードの変更を推奨した
・15%の専門医のみが症例数の増加を訴えた
・50%以上の症例がエンドウ豆やレンズ豆の量が少ない(低PLの)フードを食べ、約40%が両豆類が豊富な(高PLの)フードを食べていた
・タウリンが測定された症例の15%で、その値が参照値を下回る結果となった
・DCMと診断されて高PLのフードに変更した症例の生存期間は、診断前から「そのフード」を食べて診断後も変更しなかった症例よりも有意に長かった

 

上記のことから、「フードを変更すること」が生存期間を延長することが分かる。しかし、フードに含まれるエンドウ豆やレンズ豆の量だけに着目していても、猫のDCMとフードの関連性は不明確なままのようだ。よって、今後、猫のDCMとフードに含まれる様々な成分との関連性に関する研究が進み、当該疾患を発症するファクターの特定、引いては、当該疾患の食餌療法または予防法の考案がなされることに期待している。

約8%の症例は、食べているフードに関する情報が不詳であったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34963075/


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