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各種眼圧計で測定した水晶体脱臼・亜脱臼を起こした犬の眼圧に関する研究

投稿者:武井 昭紘

ex vivoという条件ではあるが、眼圧が高くなっている犬の眼を前にして、①リバウンド眼圧計と②圧平眼圧計が弾き出す数値には違いが認められる。このように発表した論文がある。では果たして、実際の臨床現場において、両者の相違点が眼科診療に与える影響はあるのだろうか。

前述した背景の中、、アメリカの獣医科大学らは、水晶体が脱臼あるいは亜脱臼した犬60匹の診療記録を対象にして、①と②が表示した数値を比較する研究を行った。すると、水晶体が前方に脱臼したグループにおける①と②の差が中央値で5mmHg、後方に脱臼したグループおよび亜脱臼したグループにおいて3mmHgであり、水晶体が前方に脱臼したグループに着目すると、測定結果の70%以上で②よりも①の数値が高いことが判明したという。

冒頭に紹介した論文では、高眼圧領域において、②よりも①の方が精度が高いと述べられている。そして、本研究での結論は、①と②の双方を使用することが理想だとのことだ。よって、2種類の眼圧計を所有している動物病院では「その理想」に準じ、これから眼圧計を購入しようとしている動物病院では①を選択することが望ましいと思われる。また、どちらか一方の眼圧計を所有している動物病院では、本研究が示した「差」と実際の症例の臨床検査所見を総合して、眼科診療を進めて頂けると幸いである。

眼圧計に慣れていない獣医師におかれましては、「小動物用眼圧計TONOVET®を使用する時の初心者向けのコツに関する研究」という記事もご参照下さい。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.259.9.1025


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