8歳齢の不妊メスの猫(短毛腫)が、5ヶ月間にも及ぶ再発性の前部ブドウ膜炎(右眼)を主訴にオハイオ州立大学を訪れた。だが、感染症検査には根本的な原因は分からなかった。また、彼女には、アレルギー性または免疫介在性の皮膚疾患の病歴があった(4年間)。そこで、ステロイド剤の注射とシクロスポリンの経口投与に加えて、ステロイド剤およびNSAID点眼薬による炎症のコントロールを試みた。ブドウ膜炎は治まった。
しかし、治療を中止すると再発した。そして、続発性の緑内障へ移行。同大学は、眼球摘出術の実施を決断する。取り出された眼球の病理検査は、好酸球浸潤を伴う汎ブドウ膜炎という結果であった。なお、悪性所見は見つからなかった。術後9ヶ月、特段の治療なしに皮膚炎は寛解した。
これを受け、オハイオ州立大学は、本症例を「好酸球性肉芽腫複合体による症状が眼に及んだ世界初の病態」と位置付けた。果たして、同様の病態を呈する猫は他にも存在しているのだろうか。難治性あるいは再発性ブドウ膜炎を抱える猫を対象にして、当該疾患の有病率を算出する研究が進むとともに、それに並行して、眼球摘出術以外の治療法の開発が行われることに期待している。

手術時のCBCで好酸球増加症が認められたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34808018/
https://vcahospitals.com/know-your-pet/feline-eosinophilic-granuloma-complex-in-cats(好酸球性肉芽腫複合体について)