ニュース

猫パルボウイルス感染症の各種サンプルと検査の精度を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

猫パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)の診断において、その病原体(FPV)を検出するために、犬パルボウイルスの検査キットを使用することがある。そこで、気になることが出てくる。「犬用」を猫に転用する状況で、その検出精度は如何ほどなのかということだ。

そこで、オンタリオ獣医科大学らは、予防接種歴が不完全または不明な、シェルターで暮らす猫140匹以上を対象にして、FPVを検出する検査を実施する研究を行った。なお、同研究では、糞便、肛門・直腸スワブ、吐瀉物がサンプルとして採用されており、そのサンプルはIDEXX社のSNAP、あるいは、PCRにかけられている。すると、感度はそれぞれ、糞便のSNAPで55%、スワブのSNAPで30%、スワブのPCRで77%、吐瀉物のPCRで100%であり、全ての検査の特異度が96%~100%の間に収まることが判明したという。また、PCR陽性の糞便サンプルに限ると、SNAP陽性となるサンプルに含まれるDNAコピー数は、SNAP偽陰性となるサンプルのそれよりも有意に高い値を示すことが確認されたとのことだ。

上記のことから、吐瀉物を用いたPCR検査が高い精度を誇っていることが窺える一方で、SNAPの感度は低いことが分かる。よって、吐瀉物が得られた場合は「それ」を用いて、得られなかった場合は肛門・直腸スワブを用いて、PCR検査を実施することが望ましいと思われる。

FPV感染症と診断された症例数は17件だったとのことです。

 

参考ページ:

https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/1098612X211005301


コメントする