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皮膚糸状菌症の疑いがある猫から分離された新しい真菌

投稿者:武井 昭紘

カリフォルニアの大規模なシェルターで暮らす保護猫たちに真菌感染症と思われる症状が現れた。その数は、2年間で160件を超える。集団で生活をすることがリスクとなったのだろうか。疑わしい病原体は、Microsporum属。猫で見られる最も一般的な皮膚糸状菌症だ。

そこで、コロラド州立大学は、彼らの被毛、爪、皮膚から採取したサンプルを培養し、得られた株を形態学的、顕微鏡学的、遺伝子学的に解析する研究を行った。すると、約77%の症例が①M. canisに感染していることが判明したとのことである。しかし一方で、子猫4例の解析では、想定とは異なる結果が出たという。②Arthroderma lilyanum sp. nov.および③Arthroderma mcgillisianum sp. nov.。今までに報告されたことのない新しい真菌が検出された。

上記のことから、同大学は、①と②③の鑑別診断が大切だと訴える。②および③が、人間を含む猫以外の動物種に対して、どれ程の感染力を示すかを考慮するべきだと。果たして、②③は、猫の皮膚科診療において重要な病原体なのか。今後、Arthroderma属による感染症の有病率、臨床症状、抗真菌薬の有効性を検証する研究が進み、その実態が明らかになることを期待している。

本研究ではでは、ITS、β-チューブリン、TEF1領域の遺伝子が解析されたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34999826/


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