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ライム病の診断と予防を効率化するために行われたインターネット調査

投稿者:武井 昭紘

ライム病は、マダニが媒介するボレリア属の細菌がヒトや犬に感染することで、発熱、皮膚病(紅斑)、神経症状などを起こすズーノーシスであり、日本では本州中部以北(特に北海道)で発生件数の多い感染症である。そのため、ライム病と診断すること、そして、ライムを予防することは公衆衛生上、非常に重要なこととされている。しかし、診断するには医師がライム病の可能性を疑うこと、予防するには発生件数が多い地域をアップデートし続けることが大きなカギとなっており、それが実現しなければ、当該疾患の診断と予防が効率的に行われないのが現状である。

そこで、カナダのゲルフ大学は、ライム病の診断と予防を効率化するべく、インターネット調査を実施した。なお、同調査では、過去10年間でライム病の報告件数が10倍に急増した州、オンタリオ州およびケベック州における「ライム病」、「ダニ」、「ダニに刺される」といったキーワード検索の状況が調べられ、同州におけるライム病の発生状況と比較する形式が採用されている。すると、州の中でも特に発生件数が多い地域では、他の地域と比べて、キーワード検索が頻繁に行われていることが判明したという。

上記のことから、ライム病に関するキーワード検索の件数は、その地域におけるライム病の「実際の」発生状況を反映していることが窺える。よって、今後、検索が多いものの、発生報告が少ない地域に勤める医師にライム病に関する注意喚起を行うといった、キーワード検索の状況に応じたライム病の防疫対策が講じられ、その予防効果が検証されていくことに期待している。

ライム病以外の感染症についても同様の調査が行われると、デジタル技術を利用した新たな防疫対策が生れるかも知れません。

 

参考ページ:

news.uoguelph.ca/2022/04/u-of-g-study-may-help-pinpoint-lyme-disease-hot-spots/


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