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犬の膿皮症を診断するための「新しい」細胞診の有用性を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

皮膚科診療において、細胞診は、診断および治療方針の決定に大きな影響を与える技術である。そのため、膿皮症やマラセチア性皮膚炎の細胞診では、患部から効率良く病原体を収集できる手法が常に求められているのだ。では果たして、現在のゴールドスタンダードである①テープ法と②スタンプ法よりも優れた③「新しい」手法は存在しているのか。ここに焦点を当てた研究が、アメリカの大学および動物病院らより報告された。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆犬の皮膚科診療のための「新しい」細胞診の有用性◆
・膿皮症やマラセチア性皮膚炎を伴うアトピー性皮膚炎の犬30例を対象にした
・病原体の収集に着目して①②と③の有用性を比較した
・一定の面積の皮膚から採取するサンプルを用いた
・③は、患部から採取したサンプルを温かい滅菌水を浸して、スライド上で乾燥させる手法である
・①②よりも③で検出される細菌の数が多かった
・マラセチアの検出では三者に有意差は認められなかった

 

上記のことから、③は、①②よりも高精度で、犬の膿皮症に対する細胞診として有用だと考えられる。よって、今後、①②では膿皮症と診断できない症例に③を適応する研究が計画され、この新しい手法がゴールドスタンダードとなり得る可能性が更に検証されていくことに期待している。

①②と比べて③では、約13個多く細菌が検出されるとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34734448/


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