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膵外分泌不全の猫においてメタボロミクス解析を行った研究

投稿者:武井 昭紘

猫の慢性的な消化器疾患の一つに、膵外分泌不全(Exocrine pancreatic insufficiency、EPI)がある。この病気は、罹患猫に体重減少、食欲の異常な増進、量が多い軟便を齎すことが知られている。しかし、その病因および病態生理は未だ良く分かっていない。

そこで、イリノイ大学は、①臨床上健康な猫と②EPIの猫から血液サンプルを採取し、それを用いてメタボロミクス解析をする研究を行った。すると、①と比べて②で有意に増加していたものが長鎖脂肪酸(③)、多価不飽和脂肪酸、メバロン酸経路の中間体などで、有意に低下していたものがジアシルグリセロール(④)、ホスファチジルエタノールアミン、アミノ酸誘導体(⑤)、そして微生物によって産生される物資(⑥)であることが判明したという。また、②のfTLIと③が負の、④⑤が正の相関関係にあることが明らかになったとのことである。

上記のことから、大学は、猫のEPIには脂質およびアミノ酸代謝の変化が伴っており、加えて⑥には腸内細菌叢が関与している可能性があると結論付けた。果たして、これらの①と②の相違点は何を意味しているのか。今後、詳しく分析する研究が進むとともに、猫のEPIに対する新しい治療法が開発されることを期待している。

本研究における猫のEPIは、fTLIが参照値以下であることをもって診断されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34591942/


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