ニュース

犬が歯周病になるリスクを上げるファクターに関する研究

投稿者:武井 昭紘

一次診療で最も一般的な犬の歯科疾患として、歯周病(periodontal disease、PD)が挙げられる。そして、アメリカでは、毎年数百万件の診療記録を積み重ねる病気だとされているのだ。つまり、その記録の中には、PDに対する獣医療サービスを更に向上するヒントが隠れている可能性があると言えるのである。

 

そこで、ウォルサム研究所およびバンフィールドグループは、60品種300万匹の診療記録を解析し、犬がPDになるリスクを上げるファクターを特定する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬が歯周病になるリスクを上げるファクター◆
・大型犬(25kgオーバー)と比べて超小型犬(6.5kg未満)は5倍、PDになりやすい
・超小型~中型犬(15kg未満)に属する品種がPDと診断される可能性が高かった
・特にプードル(超小型)、ダックスフンド(小型)、ビーグルおよびシュナウザー(中型)が最も頻繁にPDと診断された
・重症例の割合は超小型~中型犬で多かった
・加齢、肥満、最後のスケーリングおよびポリッシングからの経過時間がリスクファクターであった
・スケーリングおよびポリッシングから2年以上経過するとPDと診断される確率が上がった(約2倍)

 

上記のことから、体格が小さいこと、加齢、肥満、歯科処置から長く遠ざかっていることがPDと関連していることが窺える。よって、該当する犬を飼育するオーナーには、PDに関するインフォームド・コンセントを充分に行うことが望ましいと思われる。また、肥満とPDの関係性や、歯科処置後の適切なデンタルケアについて明らかにする研究が進み、犬の歯科診療が進化することを期待している。

ウォルサム研究所らは、肥満とPDの関連について、口の痛みに伴う活動性の低下で体重が増える可能性があると考えているようです。

 

参考ページ:

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S109002332100112X


コメントする