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犬におけるIBDの病理組織学的グレードを反映するバイオマーカーに関する研究

投稿者:武井 昭紘

犬の炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease、IBD)は、小動物臨床で良く遭遇する病気である。そのため、当該疾患の「効率的な」診断法は常に求められている。しかし、それを実現し、世界的に広く認められている有用なバイオマーカーは存在していないのが現状である。一方、人医療では、IBDを抱えるヒトにおいて、染色体タンパク質であるHigh-mobility group box 1 (HMGB1)の血中濃度が有意に上昇することが知られている。

そこで、韓国の忠北大学および動物病院らは、①IBDに罹患した犬と②臨床上健康な犬を対象にして、血清中HMGB1濃度およびC反応性タンパク質(serum C-reactive protein、CRP)濃度に加え、病理組織学的グレードを調べる研究を行った。すると、②よりも①で両濃度は有意に上昇しており、グレードが軽い症例よりも重い症例で血清中HMGB1濃度が有意に高いことが判明したという。

上記のことから、血清中HMGB1濃度は、犬のIBDを診断するバイオマーカーとして有望であることが窺える。よって、今後、同濃度の参照値の設定と感度・特異度を算出する研究が計画され、商業化へと着実に進むことを期待している。

本研究では、CRPとCIBDAIスコアが正の相関関係にあることも分かっております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34480505/


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