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隅角が閉塞した緑内障を発症したアメリカン・コッカー・スパニエルの眼房水を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

原発性閉塞隅角緑内障(primary angle-closure glaucoma、PACG)は、原因不明の(緑内障を併発する疾患が見受けられない)眼科疾患で、特定の犬種に起こりやすいことが知られている。そのため、その原因を突き止めることが、小動物臨床における眼科診療を発展させる上で大変に重要だとされている。

 

冒頭のような背景の中、韓国のの大学および動物病院らは、PACGを好発するアメリカン・コッカー・スパニエルを対象にして、①当該疾患を罹患した個体群と②罹患していない個体群の眼房水の成分を解析する研究を行った。なお、本研究では、前眼房穿刺によって眼房水が採取されている(①のサンプルは緑内障の治療を開始する前に採取)。すると、②に比べて①の眼房水中のタンパク質濃度は有意に高く、750種以上のタンパク質が検出され、以下に示すものの濃度が特に顕著に高かったとのことである。

◆①の眼房水で顕著に濃度が高いタンパク質◆
・オステオポンチン(secreted phosphoprotein 1、SPP1)
・ペプチドグリカン認識タンパク質2(peptidoglycan recognition proteins 2、PGLYRP2)
・チロシン 3-モノオキシゲナーゼ(tyrosine 3-monooxygenase、YWHAE)
・マルターゼ-グルコアミラーゼ(maltase-glucoamylase、MGAM)
・ビメンチン(vimentin、VIM)

 

上記のことから、①と②の眼房水を構成する成分(濃度)には差異があることが窺える。果たして、これらの違いは何を意味しているのか。そして、これらはPACGの発症要因になっているのか。今後、更なる研究が進められ、当該疾患の治療法および予防法に革新が齎されることを期待している。

②と比べて①で濃度が低下していたタンパク質もあったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34558166/


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