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中頭種の犬における体の各部位が占める体表面積の割合を再考した研究

投稿者:武井 昭紘

救急疾患にも挙げられる熱傷では、その傷の深さは勿論のこと、どれくらいの割合の体表面積(body surface area、BSA)に損傷が及んでいるのかを評価することが重要だとされている。そこで、広く利用されている計算方式が「9の法則」である。つまり、動物の体の部位を頭頚部、胸部、前肢、腹部、後肢に分け、それぞれが占めるBSAの割合を9の倍数(順に9%、18%、9%×2、18%、18%×2)で表したものだ。しかし、この「9の法則」は、主に人医療で使用されてきた手法を真似たに過ぎない。では、「実際の」動物の体の各部位が占めるBSAの割合を算出すると、どのような数値となるのか。これは、彼らが負った熱傷の重軽症を正確に判定する上で、大変に重要なことである。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、大学付属病院を訪れた犬9匹(中頭種)を対象にして、「その実際の割合」をCT検査で弾き出す研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆中頭種の犬における体の各部位が占める体表面積の割合◆
・頭部と腹部は14%であった
・頚部と前肢(片側)が9%であった
・胸部が18%であった
・後肢(片側)が11%であった
・骨盤と尾を合わせて5%であった

 

上記のことから、「9の法則」に当て嵌まる部位は前肢と胸部のみであることが分かる。よって、今後、サイズ・体型が様々な犬における「実際の割合」を品種ごとに算出する研究が進み、犬独自の法則、あるいは、早見表が考案・作成され、彼らの熱傷に対する治療が高精度化することを願っている。

猫で同様の研究を行うと、また異なる結果が得られるのかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34951108/


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