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犬猫における魚の皮を用いた創傷治療の効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

カリフォルニア大火災で熱傷を負った動物の治療もあってか、失った皮膚を再生させる「ある治療法」が注目を浴びている。それは、魚の皮(acellular fish skin grafts、FSGs)を移植するといったものだ。果たして、このFSGsは、どれくらいの再生力を動物に与えるのか。それを明らかにすることは、小動物臨床における外科および皮膚科診療のレベルを向上するキッカケになると思われる。

 

そのような背景の中、フロリダ大学らは、FSGsによる治療を受けた犬猫17匹を対象に、彼らの経過を追跡する研究を行った。すると、以下に示す事項は判明したという。

◆犬猫の創傷治療におけるFSGsの有用性◆
・受傷から9日~210日目に最初の治療を行った
・次いで4~21日の間を置いて2~4回目の治療を行った
・2回目の治療で創傷が治癒する例が多かった(治療開始から26~145日目)
・犬猫それぞれ1例ずつのみが治癒しなかった
・有害事象が認められなかった

 

上記のことから、治癒しなかった2例を除いて、経過を良好であることが窺える。よって、既存の治療法で回復しない創傷を抱える犬猫を診察する際は、FSGsを一つの選択肢として検討することが良いのかも知れない。よって、今後、一次診療施設が同治療法を実践できるように、FSGsを作成するためのガイドラインの作成やFSGs製品の開発が世界的に進むことに期待している。

(画像はイメージです)
FSGsによる治療では、特別な訓練、器具、包帯は必要ないとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34843446/


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