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メキシコで飼育される猫における内部寄生虫疾患に関与するリスクファクター

投稿者:武井 昭紘

世界的に猫の飼育頭数が増加する現代、彼らと人間の距離は近付き、昔よりも密接な関係が構築されていると実感する。そこで、ある懸念が生じる。猫には、ズーノーシスにも数えられる内部寄生虫が多く存在している。公衆衛生上、猫と人間の接触は、このズーノーシスの発生リスクを孕んでいるのだ。では一体、猫はどのような内部寄生虫を抱えているのか。各国がその詳細を地域ごとに把握することは重要だと思われる。

 

冒頭のような背景の中、メキシコの大学および動物病院らは、首都メキシコシティにある動物病院を訪れた猫の糞便サンプル500件以上を対象に、消化管内寄生虫の感染状況を調査する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆メキシコシティにある動物病院を訪れた猫における消化管内寄生虫の感染状況◆
・最も多く検出された寄生虫はジアルジア属であった(約22%)
・次いでクリプトスポリジウム(7%)、猫回虫(約6%)、シストイソスポーラ属(約5%)が続いた
・半数以上の症例は1種類の寄生虫に感染していた(30%強は2種類、10%強は3種類)
・液体状の便はジアルジア属の感染と関連していた
・7ヶ月齢未満の個体の粘液便はシストイソスポーラ属の感染と関連していた
・7ヶ月齢未満、オスであること、他の動物との接触、屋外へのアクセスは猫回虫の感染と関連していた
・また猫回虫は、ブラッシングの頻度が少ない猫に多く見られた

 

上記のことから、前述した症状や条件(シグナルメントなど)に該当する猫を飼う世帯では、彼らの内部寄生虫感染症、ひいてはズーノーシスに注意を払った方が望ましいと言える。よって今後、本研究の結果を基に対策が講じられ、メキシコシティで予防医学が発展を遂げることを期待している。

瓜実条虫は1%未満の症例から検出され、この病原体の感染は他の動物との接触に関連していたとのことです。

 

参考ページ:

https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/20551169211033183


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