ニュース

救急外来を訪れた犬猫における赤血球の大小不同と死亡リスクに関する研究

投稿者:武井 昭紘

人医療において、循環器疾患や感染症(COVID-19)を抱えるヒトの予後を判定する指標の一つとして、赤血球のサイズの「ばらつき」を数値化した、赤血球分布幅(red cell distribution width、RDW)というものがある。具体的には、ばらつきが大きい、つまりRDWが高い(大小不同がある)方が予後不良とされているのだ。そこで、疑問が浮かぶ。小動物臨床においても、RDWは予後を判定する指標になるのだろうか。

冒頭のような背景の中、ミネソタ大学は、過去10年間に大学付属動物病院の救急外来を訪れた犬猫6500匹以上(ICUに入院する際にCBCと生化学検査が実施された症例)を対象にして、彼らのRDWと予後との関連性を調べる研究を行った。なお、同研究では、RDWの値を5段階(値が低い方から①~⑤とする)に区分し、各階層の死亡する確率をオッズ比で表示している。すると、④および⑤に分類される症例グループは①と比べてオッズ比が高く、④では1.9倍、⑤では2.1倍になることが明らかになったとのことである。

上記のことから、RDWが高くなるほどに、死亡するリスクも上がることが窺える。よって、今後、原因によって多岐に渡ると思うがRDWを低下させる治療法によって、このリスクが軽減されるか否かについて検証され、救急疾患を抱える犬猫の救命率が向上していくことに期待している。

研究に参加した犬は約5180匹、猫は約1480匹だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34432939/


コメントする