犬の自己免疫疾患は、小動物臨床で比較的良く遭遇し、重篤な場合は動物病院での集中管理や長期間に渡る免疫抑制剤の投与によって治療される病気である。しかし、その治療を受けた症例の中には、副作用に苦しみ、生活の質を下げてしまう個体が存在していることが現状となっている。そのため、彼らの治療反応性や副作用の発現に関与するファクターを明らかにすることは、当該疾患に対する診療レベルを向上する上で、大変に重要なことと言えるのだ。
そこで、イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、「ImmunoRegistry」という研究プロジェクトを立ち上げた。なお、同プロジェクトは、自己免疫疾患、具体的には免疫介在性溶血性貧血(IMHA)、免疫介在性血小板減少症(ITP)、免疫介在性多発性関節炎(IMPA)、またはステロイド反応性髄膜炎・動脈炎 (SRMA)を抱える犬の診療記録を解析し、予後、再発リスクに関与するファクター、品種ごとの副作用の発現状況を明らかにすることを目的としている。症例数は400件。世界最大規模のデータを蓄積することを目指すという。
50~100匹。イギリスの王立獣医科大学では毎年、これだけの数の犬が自己免疫疾患を診察している。果たして、彼を助ける「副作用の少ない」治療法とは何か。ImmunoRegistryが、その答えを導き出すことを期待している。
参考ページ: