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獣医学部生と獣医師の挿管に掛かる時間を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

1分、2分と経過して、どこまでチャレンジさせるかを悩む。導入麻酔薬が投与されるも挿管ができていない犬と、その挿管に手古摺る新人獣医師を見ながら。経験を積ませたいが、犬にも負担を掛けたくない。両者のバランスを保つベストな時間とは、どれくらいか。新人教育とは、悩みの連続なのかも知れない—–。

 

冒頭のような背景の中、サリー大学の研究を見付ける。それによると、①卒業を控える獣医学部生および②獣医師を対象にして、そして、臨床上必要となった全身麻酔にかかった犬(中頭種)38匹に協力をしてもらい、気管内挿管が成功するまでの時間を計測したという。すると、その時間は、①では約54秒、②では約12秒を要することが判明し、両者間には有意差が認められたとのことだ。

これを受け、同大学は述べる。麻酔が掛かった犬が低酸素症に陥らないように気を付けつつ、挿管の経験を学生に積ませる際の制限時間は55秒だと。学生から臨床獣医師へと進んだ新人の教育を任されている皆様は、どれくらいの時間を与えて彼らに挿管をチャレンジさせているだろうか。その時間に悩んでいる方は、サリー大学の結論(55秒)を参考にして頂けると幸いである。

品種や導入麻酔薬の種類では、挿管に掛かる時間に有意差を生じなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34332898/


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