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カミソリの刃を飲み込んだ犬に適応された外科手術以外の治療法

投稿者:武井 昭紘

4ヶ月齢の子犬がカミソリの刃を飲み込んだとして、イングランド北部ブラッドバリーに位置する動物病院を訪れた。カミソリは鋭利な刃物である。もし胃や腸を穿孔したら一大事だ。獣医師は、外科的摘出あるいは内視鏡による摘出を提案する。しかし、オーナーは同意しなかった。となれば、出来ることと言えば—–。

レントゲン画像には、カミソリの刃だと思われる破片が何枚も写っている。外科手術も内視鏡も行わないのであれば、それらが自然に肛門の方へと流れていくことを待つのみになる。無論、両治療法には麻酔のリスクが伴う。また、実施したとしても、全ての破片を取り出せる保証は無い。そして、消化管を切開するということは、その術野が裂開して、消化管の内容物や細菌が腹腔へと漏れ出す危険性も孕む。一方、自然に流れていくのを待つとしても、カミソリの刃が消化管を傷付けるリスクが付き纏う。外科や内視鏡か、それとも待つか。2つの道にあるリスクを天秤にかけ、どちらかを選ぶ。

結果、本症例では、「待つこと」が選択された。

幸い、カミソリの刃は、便と一緒に体外へ排出された。胃腸が穿孔することはなかったのだ。犬や猫は、こちらが想像も付かない大きな物体、危険な物体を飲み込み、自らを窮地に立たせてしまう。そして、彼らのオーナーは血相を変えて、慌てて動物病院を訪れる。この時、想うのである。ペットが飲み込んでは困るものを、彼らの口が届く場所に置くべきではないと。皆様が飼っているペットは、今回紹介した誤食の症例のような経験を持っているだろうか。持っていても、持っていなくても、誤食には細心の注意を払って欲しい。「待つこと」という治療法は、常に成功するものではないのだから。

(画像はイメージです)
クリスマスでは、ペットが鶏の骨を消化管に詰まらせることにも気を付けてもらえますと幸いです。

 

参考ページ:

https://www.wear-referrals.co.uk/news/close-shave-for-puppy-that-swallowed-razor-blades/


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