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CHOP療法を受けた多中心型リンパ腫の犬の予後と好中球増加症

投稿者:武井 昭紘

ある研究によると、好中球/リンパ球比は、多中心型リンパ腫を発症した犬の無増悪生存期間(progression-free survival time、PFST)と関連しているという。そこで、数学的に考える。この比の値を変動させるであろう「好中球数」の変動もまた、症例の予後(PFSTを含む)を左右しているのではないか。つまり、好中球の数をカウントするだけで、予後をある程度判定できるのではないか—–。

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、①好中球増加症を伴う多中心型リンパ腫の犬30匹(②16匹がCHOP療法を受けている)を対象にして、彼らの予後を、③好中球増加症を伴わない多中心型リンパ腫の犬(全例がCHOP療法を受けている)のそれと比較する研究を行った。すると、③に比べて②のPFSTは有意に短く、③に比べて①の治療に反応する確率は有意に低いことが判明したという。

上記のことから、好中球の数が増加すること(好中球増加症)は、多中心型リンパ腫の犬の予後を悪くさせる力を有していることが窺える。よって、今後、当該疾患における好中球の役割を解析する研究が進むとともに、この好中球の数を減少させる治療法が予後を改善するか否かについても検証されていくことを期待している。

好中球増加症の有無につきましては、リンパ腫と初めて診断された時の検査結果に基づいているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34388019/


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