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落葉状天疱瘡の犬に起きている血管の病変とその臨床的意義

投稿者:武井 昭紘

犬の頭部(鼻、眼、耳介)、体幹、肉球などに紅斑、膿疱、痂皮、びらんを呈する皮膚病の一つ、落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus、PF)では、病変部位の血管に障害が起きているとされている。しかし、その実態は明文化されておらず、予後との関連性(臨床的意義)も不明なままである。

そこで、ミシガン州立大学は、PFを発症した犬40匹以上を対象にして、彼らの経過と、皮膚組織(ホルマリン固定した病変部)における血管障害を紐づける研究を行った。すると、組織学的に3つのグループ(①血管障害なし、②血管炎を伴わない血管障害、③血管炎を伴う血管障害)に分けられることが判明したという。また、治療開始から寛解までの期間は①よりも③で有意に長く、①では認められない全身性の症状が②③では発現し、①に比べて③では薬剤の副作用が出やすいことが分かったとのことである。

上記のことから、血管障害や血管炎を生じたPFを抱える犬と「そう」ではない犬とでは、症状・経過・治療に対する反応が異なることが窺える。よって、今後、皮膚の病理組織学的検査に応じた治療法が考案され、PFに関する診療レベルが向上していくことを期待している。

各グループの病変の分布、寛解率、再発率、ステロイド剤の投与量に差異は認められなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34189786/


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