ニュース

イギリスで実施された犬猫の尿サンプルを用いた細菌培養と薬剤感受性試験

投稿者:武井 昭紘

いつしか真夏日もなくなり、日が落ちる時間も早くなった。夏は終わり、秋へと移り、冬の訪れを待つ季節になったのだ。つまり、獣医学的には、尿路系疾患(特に膀胱炎や尿閉)の季節を迎えたのである。そこで、本稿では、当該疾患に纏わる研究を紹介したい。新人獣医師の皆様におかれては、是非参考にして頂けると幸いだ。

 

イギリスの大学らが、ある検査センターに送付されてきた犬猫の尿サンプル(2011~2012年)を用いた細菌培養と薬剤感受性試験の結果をデータ化した。その数は、800件以上。そして、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬猫の尿サンプルを用いた細菌培養と薬剤感受性試験◆
・90%を超える症例で単一の細菌が検出された
・その半数以上が大腸菌であった
・次いで、プロテウス属(犬)、エンテロコッカス属(猫)が続いた
・大腸菌の約33%がアンピシリン、約20%がアモキシシリン・クラブラン酸、13%未満がST合剤に耐性を持っていた
・フルオロキノロンが細菌に対して最も有効な抗生剤であった

 

上記のことから、イギリスで飼育される犬猫の尿には、一定の割合で耐性菌が含まれることが窺える。では果たして、日本では現在、その割合はどのようになっているのだろうか。そして、最も有効な抗生剤とは。抗生剤の適正使用の概念とともに、刻々と変化を遂げる耐性菌の出現状況に関するアップデートが一般の動物病院まで広がることを願っている。

フルオロキノロン系抗生剤のエンロフロキサシンおよびマルボフロキサシンに耐性を持っている細菌は、10%未満だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34463359/


コメントする