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再発性膀胱炎と前立腺炎を抱える犬の前立腺液と尿から検出される細菌の薬剤感受性

投稿者:武井 昭紘

高齢で未去勢の犬には、前立腺肥大や前立腺炎が起きることがある。また、これらの疾患に膀胱炎が併発することもあるのだ。そして、この時における治療のポイントは、①前立腺液や②尿を用いた薬剤感受性試験に基づく抗生剤の選択だと言える。そこで、疑問が浮かぶ。①と②、どちらを選ぶことがベスト(あるいはベター)なのだろうか。

冒頭のような背景の中、タイおよび日本の大学らは、前立腺疾患および膀胱炎を呈した未去勢の犬160匹を対象にして、①と②の結果を比較する研究を行った。すると、両サンプルから検出される主な細菌はブドウ球菌属、大腸菌、緑膿菌属、連鎖球菌属、プロテウス属菌、クレブシエ属菌であり、これらの菌に対して非常に有効な抗生剤はイミペネムとゲンタマイシンであることが判明したという。また、両サンプルによる薬剤感受性試験の結果には有意差が無いことが分かったという。

上記のことから、②を用いた薬剤感受性試験でも、膀胱炎を伴う前立腺疾患の犬に有効な抗生剤を把握することが可能だと考えられる。よって、獣医師個人の経験・技術も含めて、何らかの事情により①が採取できない場合は、②を薬剤感受性試験のサンプルとして採用することがベターだと思われる。

ブドウ球菌および大腸菌が最も多く検出された細菌種だとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34399384/


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