ニュース

敗血症性ショックによって亡くなったコロナ感染者から検出された病原体

投稿者:武井 昭紘

68歳の男性が肺炎を患った。SARS-CoV-2の抗原検査は陽性。コロナ禍の現在、この肺炎は新型コロナウイルスに感染したことによるもの(COVID-19)だと判断されることは妥当であった。しかし、ICUに入院して数時間後、男性は敗血症性ショックを発症した。手を尽くすも治療に反応せず、彼は亡くなった。一体、何が起きていたのだろうか。

 

死後、原因を追究する検査が行われた。Capnocytophaga canimorsus(カプノサイトファーガ・カニモルサス)。それが、彼を苦しめた病原体であった。既往歴を確認すると、「愛犬に付けていた鎖で皮膚を傷つけた」とある。また、受傷後も犬と触れ合っていたようだ。

症例報告をしたドイツの大学は、死因をC. canimorsus感染症と断定。COVID-19によるサイトカインストームは同感染症に伴う敗血症性ショックに似ていると述べる。果たして、ペットを飼育するSARS-CoV-2感染者のうち、C. canimorsusに感染して亡くなってしまったヒトは他にも存在しているのだろうか。そして、そのような彼らの死因は、どのように扱われているのだろうか。今後、実態が調査され、COVID-19の診療における鑑別診断と、SARS-CoV-2感染者のペットへの向き合い方が見直されることを願っている。

この患者さんのPCR検査は陰性だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34344315/


コメントする