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認知機能不全症候群を抱える犬に対するトレーニングと病状の進行に関する研究

投稿者:武井 昭紘

認知機能不全症候群(cognitive dysfunction syndrome、CDS)は、11~12歳齢の犬の28%、15~16歳齢の68%が罹患するとも言われている疾患である。また、当該疾患は罹患犬の行動を変化させ、彼ら自身とオーナーの生活の質(QOL)を著しく悪化させてしまう特徴を持っている。そのため、この変化(病状の悪化)を遅らせる治療法の確立が常に望まれているのである。

そこで、オハイオ州立大学は、8歳以上の犬を対象にCDSスコアを算出するとともに、彼らの一部に1回50分、週4回のトレーニング(一般的な行動に関する問題点を解決するもの)を実施し、その効果を判定する研究を行った。なお、研究に参加した犬は80匹以上(うち20匹がトレーニングをしている)で、CDSの有無は採用不採用に影響していないとのことだ。すると、トレーニングをしたグループのCDSスコアは①3ヶ月後(最初のスコア算出から)と②12ヶ月後においても変動しなかった一方で、トレーニングをしなかったグループの②におけるスコアは①よりも有意に増加していることが判明したという。

上記のことから、本研究に用いたトレーニングは、犬のCDSの進行を遅らせる効果を有していると考えられる。よって、今後、このトレーニングの内容を詳細に分析され、高齢犬とそのオーナーのQOLが改善するCDSの治療法が確立されることを期待している。

本研究では、CDSスコアは犬の年齢が増えていくことに応じて高くなることも分かっております。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.259.6.637


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