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椎間板ヘルニアを発症した犬に続発する脊髄軟化症を発見するためのマーカー

投稿者:武井 昭紘

リン酸ニューロフィラメントH(phosphorylated neurofilament-heavy chain、pNF-H)は、犬の変性性脊髄症を診断する有用なマーカーとして注目されている物質である。しかし、一方では、椎間板ヘルニア(intervertebral disc herniation、IVDH)を発症した犬に起きる進行性脊髄軟化症(progressive myelomalacia、PMM)とpNF-Hとの関連性は未だ充分に解析されていないのが現状である。果たして、pNF-Hは、椎間板ヘルニアの犬の予後(PMMの有無)を示唆するマーカーとなり得るか。その可能性を探ることは、獣医学の発展に寄与するものと思われる。

そこで、カリフォルニア大学は、IVDHに伴う急性かつ重度の神経症状を呈した犬39匹を対象にして、血清中pNF-H濃度を測定する研究を行った。すると、同濃度は深部痛覚が戻った個体と戻らなかった個体間で有意差は認められなかったものの、PMMを発症していないグループに比べて発症したグループでは、IVDHに対する外科手術から24時間後および72時間後の同濃度が有意に上昇していることが判明したという。そして、その感度は約83%、特異度は100%だったとのことだ。

上記のことから、血清中pNF-H濃度は、IVDHを発症した犬にPMMが起きているか否かを判定するマーカーとして有望であることが窺える。よって、今後、同濃度測定法の感度を改善する研究が進められ、高精度のPMM診断法が確立されることを期待している。

椎間板ヘルニアを治療する術式は片側椎弓切除術であったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34476832/


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