カナダの大学が発表した研究によると、細胞診に使用する針のゲージによって、サンプルの性質(血液の混入や細胞傷害のレベル)に違いが認められるという。そこで、疑問が浮かぶ。結膜からの採材に利用するサイトブラシ。そのブラシのヘッドの大きさによって、サンプルの性質に差異が生れるのだろうか。
冒頭のような背景の中、スペインのバルセロナ自治大学は、臨床上健康な犬を対象にして、2種類のサイトブラシ(①ミニサイトブラシと②スタンダードなサイトブラシ)を用いて右眼の結膜サンプルを採材し、両者の性質を比較する研究を行った。すると、①に比べて②では、細胞成分がより多いとともにデブリがより少なく、その細胞がスライド全体により均一に広がるサンプルが得られることが判明したという。一方、②に比べて①では、細胞どうしの重なりや粘液が少ないことが明らかになったとのことである。
これを受け、大学らは、①よりも②で採材する方が診断的価値が高くなると結論付けた。ただし、局所的な病変から採材、眼瞼裂が小さい症例からの採材では①を選択することが望ましいとも述べる。よって、前述した限定的な条件を除けば、②を用いた採材がベターのなのではないだろうか。
参考ページ:
https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.259.3.288