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子宮蓄膿症になりやすいゴールデン・レトリバーに起きている遺伝子変異

投稿者:武井 昭紘

子宮蓄膿症は、子宮に化膿性炎症を伴う細菌感染が生じることで発症する病気で、不妊手術を受けていないメス犬(10歳未満)の20%が発症する生殖器疾患である。しかし、この20%という確率はあくまでも平均で、品種ごとに算出すると3~66%と幅が大きいとも言われているのだ。つまり、品種が、言い換えると種を決定づける遺伝子が、子宮蓄膿症の発症リスクに関与していると考えられるのだ。

そこで、スウェーデンおよびデンマークの大学らは、そのリスクが高いとされるゴールデン・レトリバー190匹以上を対象にして、ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study、GWAS)を実施する研究を行った。すると、22番染色体上に存在するABCトランスポーター4(ATP-binding cassette transporter 4、ABCC4)をコードする遺伝子に、一塩基多型(SNP)が認められたという。

ABCC4は、炎症性サイトカインの一種プロスタグランジンの輸送に関与する膜貫通トランスポーターである。そして、これをコードする遺伝子のSNPは、ミスセンス(アミノ酸配列の変化)を起こすと、大学らは述べる。果たして、このミスセンスは、子宮蓄膿症の発症リスクを左右する力を持っているのだろうか。また、当該疾患をになりやすい他犬種においても確認できる現象なのだろうか。今後、それらを解明する研究が計画され、子宮蓄膿症の発症を抑える新しい予防法が考案されることに期待している。

18番染色体にも、発症リスクを左右するかも知れない遺伝子が見付かったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34404837/


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