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フェノバルビタールを投与されている「てんかん」の猫における肝障害を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

古くから「てんかん」の治療に使用されるフェノバルビタールには、肝障害という副作用が伴うことが知られている。しかし、犬と比べて猫では、その副作用に関するデータは充分ではないのが現状である。果たして、猫にも肝障害あるいはまったく別の副作用が発現するのだろうか。

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、特発性または構造的てんかんと診断された猫30匹以上(2ヶ月齢~12歳齢)を対象にして、彼らの診療記録を最大62か月間追跡する研究を行った。すると、フェノバルビタールの投与量(30 µg/mLオーバー)に関連して、3例の猫でALTが上昇する現象が認められたとのことである。裏を返せば、その他の症例には、特記すべき副作用は確認できなかったということだ。

上記のことから、犬とは異なり、猫ではフェノバルビタールの副作用が発現しにくいことが窺える。よって、同薬を投与している状況下で肝障害が生じている猫を診察する獣医師は、薬による副作用以外の肝疾患が存在している可能性について検討することが望ましいと思われる。

研究に参加した猫の76%は、特発性「てんかん」だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34387120/


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