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狂犬病ワクチンと混合ワクチンを同日に犬に接種した時の効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

以前、犬の予防に関する「ある明細」を見たことで、一つの疑問が浮かんだことがある。その明細は、狂犬病ワクチンと混合ワクチンを同日に犬に接種したことが窺える内容であった。無論、1日で済ませることが出来るのであれば、オーナーとしても、犬としても、そして獣医師としても効率的だと言えるのだが、果たして、この2つのワクチンは同日に接種しても問題は無いのだろうか。安全性、効果の両側面から検証する必要があるものと思われる。

冒頭のような背景の中、フランスの製薬会社らは、狂犬病ワクチンと混合ワクチンを同日に犬に接種し、その効果を検証する研究を行った。なお、同研究では、2種類の混合ワクチンのどちらか一方が採用されている。その内容は、犬ジステンパーウイルス(CDV)、アデノウイルス(CAV)、パルボウイルス(CPV)、パラインフルエンザウイルス(CPiV)、2種類のレプトスピラ(L)、犬コロナウイルス(Cv)の成分が含まれる①Recombitek®C6/ Cvと、CDV、CAV、CPV、CPiV、4種類のレプトスピラの成分が含まれる②Recombitek® C8である。すると、同日接種から2週間後、何れのウイルスに対しても抗体が産生されることが判明したという。

上記のことから、狂犬病ワクチンと混合ワクチンは免疫学的に干渉しないことが分かる。つまり、同日接種は可能と考えられるのだ。しかし、問題は残されている。副反応が起きた場合の捉え方だ。原因は、狂犬病ワクチンか、混合ワクチンか、はたまた両方か。それを特定することは困難を極めると思われる。よって、今後、副反応の発生率を算出し、副反応が起きた時の対処方法および副反応を防ぐ方法を考える研究が進み、3者(オーナー、犬、獣医師)にとって効率的なワクチンプログラムが誕生することを期待している。

狂犬病ワクチンは、Rabisin™という商品名のものが使用されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35429805/


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