ニュース

家族性に髄膜種を発症した猫に関する世界初の症例報告

投稿者:武井 昭紘

13歳のノルウェージャン・フォレスト・キャット(去勢オス)が、数秒間続くクラッキング(チャタリング)を5ヶ月間繰り返し行った後、口に何か触れることや食べる動作が刺激になってか、頭と四肢が痙攣するようになった。そして、イギリスの動物病院が診察した結果、原発性脳腫瘍が疑われた。そこで、MRI検査に進む。頭蓋内に髄膜種が発生していることが判明。本症例には、抗てんかん薬とステロイド剤による内科療法に加えて、放射線療法が適応された。しかし、11か月後病状は進行してしまい、安楽死となった。死後、脳の病理組織検査によって、移行性髄膜種(グレードI)と確定した。

同じ頃、同じ動物病院に、13歳のノルウェージャン・フォレスト・キャット(去勢オス)が「てんかん」様の発作で来院。三臓器炎に門脈シャント、そして甲状腺機能亢進症に肥大型心筋症。満身創痍とも思われる病歴を持つ本症例もまた、神経学的検査にて原発性脳腫瘍が疑われた。MRI検査の結果は、頭蓋内の髄膜種。前述の症例とは対照的に、この症例には腫瘍切除術が適応された(抗てんかん薬とステロイド剤による内科療法も適応されている)。術後6ヶ月目にして発作を認めたものの、その後は順調に経過したという。

 

年齢も同じ、品種も同じ。お気付きかも知れないが、2つの症例は同腹個体、つまり兄弟だ。

『家族性に発症した猫の髄膜腫の症例は、これまでに報告が無い。』

論文を発表したヨーロッパの大学および動物病院らは、このように述べる。果たして、彼らに当該疾患を齎した原因とは何であっただろうか。飼育環境か、遺伝子か。今後、その原因を突き止める研究が進み、猫の髄膜腫がより深く理解されていくことに期待している。

髄膜腫に対する治療が始まった後、安楽死となった猫は糖尿病、外科手術を受けた猫はリンパ腫を抱えていることが発覚したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34367652/


コメントする