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肺線維症のウェスティに起きている肺高血圧症の有病率をエコーで調べた研究

投稿者:武井 昭紘

スコットランド原産の小型犬ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(West Highland White Terrier、WHWT)は、致死性呼吸器疾患の一つに挙げられる特発性肺線維症(canine idiopathic pulmonary fibrosis、CIPF)に罹患し、肺高血圧症(pulmonary hypertension、PH)を併発することが知られている。一方、話は変わるが、エコー検査で測定する肺静脈/右肺動脈比(PV/PA)は、前毛細血管性肺高血圧症(pre-capillary PH、病態の首座が肺動脈領域にあるもの)の検出に有用であるといった報告が、最近になって上がってきた。つまり、このPV/PAを用いれば、①CIPFを発症したWHWTにおける肺高血圧症の有病率を算出できると仮定できるのだ。

そこで、ヨーロッパの獣医科大学らは、①25匹と②臨床上健康なWHWT19匹を対象にして、両者のPV/PAおよび有病率を比較する研究を行った。すると、②に比べて①ではPV/PAが有意に低下し、②の有病率が5%であるのに対し、①が63%(ヒトの肺線維症では32~85%)であったことが判明したという。また、意外にも、PV/PAの低下(肺高血圧症の存在)が生存率を左右していないことが分かったとのことである。

上記のことから、PV/PAは、肺高血圧症を診断する有用な検査項目であることが窺える。よって、今後、PV/PAが肺高血圧症を疑うCIPF症例の標準的な検査法として普及することを期待するとともに、同検査を用いてCIPFの病態・経過を解析する研究が計画され、未だ「確立していない」治療法が考案されていくことを願っている。

PV/PAのカットオフ値は、0.7だとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33892687/


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