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慢性腸症を診断する3つのバイオーマーカーを用いた血液検査CE-IBD Assay

投稿者:武井 昭紘

慢性腸症(chronic enteropathy、CE)は、嘔吐・下痢、食欲低下、体重減少といった消化器症状が14日間以上継続しており、腎臓や肝臓、内分泌などに異常を認めず、且つ、感染症(寄生虫を含む)、異物、腫瘍が除外されている状態であると定義されている。また、罹患犬の消化管粘膜では、細菌や食物に対する抗体が作られていると言われている。そして、消化管に炎症を伴っている場合もあるのだ(炎症性腸疾患、inflammatory bowel disease、IBD)。そのため、当該疾患は、新規または加水分解タンパク質を主成分とする療法食や、ステロイドまたは免疫抑制剤で治療されるのである。

 

そこで、動物医療に向けて診断技術を提供しているAntech社は、罹患犬に適切な治療が行われることを目的に、簡便で安価にCEを診断する血液検査サービスCE-IBD Assayを提供している。具体的には、同サービスでは、以下に示す3つのバイオマーカーが測定されているという。

◆CE-IBD Assayに用いられるバイオマーカー◆
・anti-porin IgA:大腸菌の外膜に存在するポリンCに対する抗体
・anti-calprotectin IgA:腸に炎症が起きた時に放出されるカルプロテクチンに対する抗体
・anti-gliadin IgA:グルテンを構成するグリアジンに対する抗体

 

 

『治療方針を決める際の診断、治療中のモニタリングにCE-IBD Assayを利用して欲しい。』

Antech社は、このように述べる。果たして、同サービスは、CEに苦しむ犬とオーナー、そして診断に悩む獣医師を助け、小動物臨床における消化器診療のレベルを向上する原動力となるか。今後の動向に注視したい。

急性の消化器症状を呈している症例は検査の対象外になるとのことです。

 

参考ページ:

https://www.antechdiagnostics.com/laboratory-diagnostics/core-diagnostics/canine-ibd-assay


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