先週、2頭のサラブレッドが急性腹症で相次いで急死しました。2019年エルムSを勝ったモズアトラクションと、インティなどを送り出した種牡馬ケイムホーム。発症早期に診断できれば、米国では馬の急性腹症は約9割が助かるとされています。
記事によると、急激に発症した疝痛(せんつう)の中で、緊急手術を含む迅速な対応を要する腹部疾患を広く「急性腹症」とされ、適切な原因究明(診断)が必要になるといいます。
例えば、腸閉塞などの腸の不具合、胆のう炎、膵炎など消化系臓器の不具合、腹部大動脈瘤の破裂など考えられる原因は多岐にわたり、人ではほとんどのケースで腹痛の原因が特定されます。患者やその家族には「腸閉塞」や「虫垂炎による腹膜炎」といった診断が伝えられ、腹痛の原因が分からない段階の呼称である「急性腹症」が伝えられることはまずないようです。
血圧低下などを伴うショック症状も引き起こし、深刻な事態に結び付くことも少なくなく、「多くの場合、開ければ原因はわかる。考えるのは開腹してから」という言い方をする先生もいます。
発症早期と診断で米国では馬の急性腹症は約9割が助かるとされています。しかし、日本の馬の場合は、「発症早期に診断」というところが容易ではないようです。馬専門の獣医師の数が足りず、こうした想定に追いついていない現状があるようです。あくまで一記事ではありますが、考えさせられる内容になっています。
もちろん、今回の2頭に関して現場ではなし得る限りの最善が尽くされたと確信する。一方で、社会構造の問題として、彼らが浮かばれるために、馬専門獣医師が、数的に充実した世の中になってほしいと願う。
https://www.chunichi.co.jp/article/291609
<2021/07/16 中日スポーツ>