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in vitroで作成された犬の敗血症モデルにおいて緊急薬が免疫機能に及ぼす影響

投稿者:武井 昭紘

ある研究によると、ホルモンとしてのアドレナリン(エピネフリン)は、その個体が持つ免疫機能に影響を与えるとされている。この事実を踏まえると、いくつかの疑問が浮かんでくる。心肺停止やショックなどを起こした動物に使われる緊急薬としてのエピネフリンやノルエピネフリンは、その個体が持つ免疫機能に影響を及ぼすことはないのだろうか。そして、及ぼすとすれば、これらの薬剤の使用を見直す必要はあるのだろうか。

冒頭のような背景の中、ミズーリ大学は、臨床上健康な犬から採取した血液サンプルをリポ多糖で刺激して「in vitroにおける敗血症モデル」を作製し、そこに①エピネフリンまたは②ノルエピネフリンを加えて培養する研究を行った。また、同研究では、サンプル中に含まれるTNF-α、IL-6、IL-10の濃度が測定されている。すると、コントロール(生食を加えて培養)と比べて①②では、IL-10が増加し、TNF-αが低下することが判明したという。

上記のことから、エピネフリンやノルエピネフリンは、敗血症に伴う炎症反応を抑えるかの如く免疫機能を調節していることが窺える。よって、今後、両薬剤の投与回数・投与量と生存率(敗血症性ショックから回復する可能性)との関連を分析する研究が進められ、救命率を高める用法・用量が考案されていくことを期待している。

本研究で作製された敗血症モデルは、ドブタミンを加えた培養も行われておりますので、リンク先の論文にてその結果をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.82.5.374


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