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パンデミック前後における獣医療従事者のストレスを評価した研究

投稿者:武井 昭紘

3回目の緊急事態宣言。そして、延長。日本は今、解除のタイミングを窺っている。このように度々繰り返される宣言と解除に、多大なストレスを感じているヒトは多いだろう。「以前とは違う日常」に、もどかしさを感じているヒトは多いだろう。それは、獣医療業界でも同様である。果たして、コロナ禍(パンデミック)の現在、動物病院スタッフは如何ほどのストレスを抱えているのだろうか。それを明らかにした調査が発表された。なお、同調査を発表したアメリカ獣医師会によると、詳細は以下の通りだ。

 

◆パンデミック前後における獣医療従事者のストレス◆
・90ヶ国以上から5000人の獣医師が参加した
・ストレスレベルが36%(パンデミック前)から64%(2020年11月)に上昇した
・65%の動物病院で電話対応、52%でメール対応、30%でSNS利用が増えた
・88%がパンデミックに伴う「遅配」を経験し、在庫(医薬品や感染防護グッズなど)を使い果たした
・48%(北米では77%)でクライアントが増加した
・しかし、アメリカの動物病院の21%、イギリスの60%で予防接種件数が減少した
・業務に不満を持っている欧米の獣医師の割合が、パンデミック後に2倍以上増加した

 

上記のことから、遅配や在庫管理の難しさに加えて、クライアントへの応対方法の変化、そして、それに見合わない予防件数の減少が、動物病院スタッフにストレスを与えていることが推察される。このパンデミックは、いつまで続くのだろうか。変異株の出現とワクチン開発の「いたちごっこ」になってしまうだろうか。パンデミック以前の日常は戻ってくるのだろうか。それらを心配しつつ、彼らのストレスを軽減する方法を考案することが、獣医学が克服すべき大きな課題なのかも知れない。

パンデミック後に起きるバーンアウト(燃え尽き症候群)のレベルは、男性よりも女性で高くなっているとのことです。

 

参考ページ:

https://www.avma.org/javma-news/2021-05-15/veterinarians-globally-feel-pandemic-pressures


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