心臓の大きさを評価する手法の一つ、心臓椎骨総計法(vertebral heart score、VHS)は、X線検査で心臓の形態学的変化を検出できる簡便さから、一般の動物病院でも広く利用されている。しかし、VHSは、心臓全体を捉えるため、心房や心室など特定の部位のみに現れる形態学的変化を観察するには不向きとなってしまう場合がある。そこで、登場したのが、左心房に特化したvertebral left atrial size (VLAS) だ。とここで、ふと疑問が湧いてくる。VHSは、品種間で測定値に大きな差が生じることが知られている。では、VLASは、どうなのだろうか。
そのような背景の中、イタリアのピサ大学は、超小型犬のチワワ30匹(成犬かつ臨床上健康な個体)を対象にして、VHSとVLASを算出する研究を行った。すると、彼らのVHSは、Buchananらが提唱する参照値よりも有意に大きく、VLASは、Malcolmらが提唱する参照値よりも有意に小さいことが判明したとのことである。
上記のことから、VHSと同様でVLASにも、品種間における「差」があることが窺える。よって、今後、あらゆる犬種でVLASが測定できるように、その差を一つひとつ明らかにする研究が進められることに期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33111364/