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陰部神経刺激療法~神経原性排尿障害を呈した猫の膀胱の機能をサポートするシステム~

投稿者:武井 昭紘

猫が何らかの原因によって脊髄を損傷した場合、膀胱に貯まる尿を排出できなくなる、いわゆる神経原性排尿障害を発症することがある。そのため、膀胱を空にして尿の流れを正常に近い状態にするべく、罹患猫に毎日、尿道カテーテル法が適応されるのだ。しかし、この治療(介護)にはデメリットがある。尿路感染症を起こしやすくなるというデメリットが。何か良い方法はないものなのだろうか—–。

 

冒頭のような背景の中、アメリカと中国の大学らは、T9~T10において脊髄損傷(spinal cord injury、SCI)を起こした猫4匹に陰部神経刺激療法を適応し、その有用性を検証する研究を行った。なお、同研究では、埋め込み型の神経刺激装置を用いて陰部神経に電気刺激を与え、膀胱や尿道の収縮・弛緩をコントロールすることが試みられている。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆SCIに罹患した猫に対する陰部神経刺激療法の効果◆
・13~14週の間、毎週テストを実施した
・20〜30Hzによる刺激は膀胱を収縮させ、排尿を促した
・10kHzによる刺激は外尿道括約筋を弛緩させ、排尿を促した
・5kHzによる刺激は膀胱の収縮を抑制し、蓄尿を促した

 

上記のことから、SCIに伴う神経原性排尿障害は、陰部神経刺激療法によって管理できることが窺える。よって、今後、陰部神経刺激療法に関するガイドラインが作成されるとともに、安価な神経刺激装置が開発され、SCIおよび排尿障害に苦しむ猫、そして、その管理に悩むオーナーたちを救う治療法が確立することを願っている。

罹患猫は、蓄尿(平均40~50mL)をするものの、尿漏れも頻繁に起こしていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33639209/


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