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脾臓の血管肉腫を抱える犬の予後を判定する臨床検査所見に関する研究

投稿者:武井 昭紘

犬の脾臓に発生する血管肉腫(hemangiosarcoma、HSA)は、外科的に病変を摘出した場合でも数ヶ月、化学療法を適応した場合でも8ヶ月前後の生存期間しか残されていない腫瘍性疾患である。そのため、この生存期間を長くする、あるいは、短くするファクターを特定することが、罹患犬のQOLや治療成績の向上に繋がるとして重要視されている。

そこで、アメリカの獣医科大学らは、脾臓にHSAを抱えた犬70匹を対象にして、無増悪生存期間(治療開始から病状が進行しない期間、PFI)および全生存期間(治療開始から亡くなるまでの期間、OST)を算出し、これらを左右するファクターを突き止める研究を行った。なお、同研究では、シグナルメント、体表面積、CBC(手術の6日前から2日後)、血腹の有無、輸液歴、腫瘍のステージがファクターの候補となっている。すると、「ステージ3に該当すること」と血小板減少症がPFIやOSTを短くすることが判明したという。

上記のことから、罹患犬の予後を改善する目的で、血小板減少症は治療のターゲットになり得ることが窺える。よって、今後、血小板数の補正が彼らの生存期間を延長させるか否かについて検証する研究が進み、特に「PFIが長くなる治療法」が考案されていくことを期待している。

ヘマトクリット値は血小板数と相関していたとのことですが、生存期間を左右するファクターと明言できる結果は得られなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.258.6.630


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