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両側性の水腎症を呈した子犬が抱えていた先天性疾患とその治療法

投稿者:武井 昭紘

生後4ヶ月の幼いハスキーの子犬が、アメリカの動物病院を訪れた。主訴は、頻尿、有痛性の排尿困難、1ヶ月間続く尿淋瀝であった。また、身体検査では腹部に腫瘤が存在していること、画像診断では両側性の水腎症を発症していることが判明。一体、この症例に何が起きているのだろうか—–。

追加で膀胱鏡検査が行われた。すると、右の尿管が閉鎖していることを発見。画像診断および膀胱鏡検査を総合して、拡張した尿管(右)が左の尿管と膀胱を圧迫していると判断したという。そのため、右の尿管と腎臓を摘出する手術へ臨んだとのこと。結果、頻尿・有痛性の排尿困難は解消され、水腎症(左)は改善した。

これを受け、症例を報告したアメリカの獣医科大学および動物病院らは、片側の尿管が閉鎖すると、下部尿路疾患を伴って「両側」の腎臓が水腎症に陥る可能性があると訴える。よって、類似の症状を呈する子犬の診察を担当する獣医師は、その個体の治療反応性を考慮しつつ、尿管閉鎖の有無のチェックを検討することが望ましいと思われる。

尿管の閉鎖に伴う「反対側」の腎臓の水腎症はヒトで報告されていますが、犬では報告されていないとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33563282/


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