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超音波ガイド下で犬猫の消化管から得られたサンプルの有用性に関する研究

投稿者:武井 昭紘

体内に発生した病変の細胞診を実施する時、位置や大きさに加えて針を刺入する部位を正確に把握するために、超音波装置をガイドとして用いながらサンプルを採取する獣医師は多いだろう。しかし、それであったとしても、有用性の高いサンプルを必ず得られるという保証は無いのが現状だ。では果たして、そのようなサンプルを手に入れるには、どうすれば良いのか。それを突き詰めた研究が報告された。

なお、研究を発表したメルボルン大学によると、超音波ガイド下にて40匹以上の犬猫の消化管から細胞を採取し、そのサンプルの臨床的な有用性と、病変の位置・厚さ、消化管の層構造、作成したスライドの数との関連性を調べたとのことである。すると、約7割の症例から有用性の高いサンプルが得られ、その有用性は病変の厚さとスライドの数に関連していたという。

上記のことから、採取したサンプルから出来得る限り多くのスライドを作成することが、細胞診を成功に導くコツであることが分かる。また、そこに病変の厚さが加われば、(成功に対する)期待感が増すと言える。よって、現在、お心当たりのある症例を担当する獣医師は、スライドの数に拘りを持って細胞診に臨んで頂けると幸いである。

消化管以外のサンプルでも、同様の研究が実施されることを期待しております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33403667/


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