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スウェーデンで行われた犬の膝関節の疾患に関する疫学調査

投稿者:武井 昭紘

脱臼や靭帯断裂など膝関節の疾患(Stifle joint diseases、SJD)は重軽症の差こそあれ、一次診療施設で比較的良く遭遇するものである。そのため、SJDに関する疫学を明らかにし、アップデートしていくことは大変に重要だと言える。そこで、本稿では、スウェーデンの大学らが発表した研究を紹介したい。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆SJDに関する疫学◆
・ペット保険に加入している60万匹(のべ170万歳齢)の犬を対象にした
・1.6%の症例(約9600例)にSJDが認められた
・つまり10000歳齢あたり約55例のSJDが診断されている
・最も一般的な疾患は十字靭帯断裂と膝蓋骨脱臼であった
・ブルドッグおよびボーアボールの発症リスクが最も高い
・SJD全例に占める割合は混血種とラブラドール・レトリバーで大きくなっていた
・5年間(2011~2016年)の追跡で症例は経年的に増加した

 

上記のことから、日本でも飼育頭数が多いであろう混血種と、大型犬として人気のあるラブラドール・レトリバーでは、十字靭帯断裂と膝蓋骨脱臼に注意を払う必要があると思われる。よって、今年の春、晴れて獣医師となった新人の先生方は今回紹介した研究を参考にして、日々の診療業務を遂行して頂けると幸いである。

本研究では、90種類以上のSJDが報告されていることも明らかになりました。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33645813/


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