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救急疾患の犬における乳酸値の経時的な変化を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

血液中に含まれる乳酸の濃度は、救急疾患を始めとする様々な病気の予後を判定できるマーカーとなっている。しかし、その一方で、採取してから検査機器にかけるまでの時間が遅れた血液サンプル(臨床上健康な犬のもの)において、同濃度が上昇しているという報告も上がっているのだ。では実際のところ、病気を抱える犬に限ると、この「上昇」は起きているのか。それを明らかにする研究が行われた。

なお、研究を発表したタフツ大学によると、救急外来を訪れた犬45匹を対象にして、血液中の乳酸濃度を測定したという。すると、室温で保管された血液サンプルの乳酸濃度が有意に上昇することが判明したとのことである。時間にして7分30秒。診察が重なると、アッという間に過ぎてしまうてあろう「瞬間」で濃度は変動するそうだ。

上記のことから、乳酸濃度から犬の情報を得たいのであれば、血液サンプルの扱いは迅速にすることが望ましいと言える。よって、普段の診療を振り返った時、自身の業務遂行に改善点があると感じる獣医師は、いつもより早く検査を進めていくことを心掛けると、いつもより正確な結果が得られるのではないだろうか。

新人獣医師の皆様は、採血から時間を置くと変動する血液検査項目について復習して頂けますと幸いです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33351978/


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