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アレルゲン特異的IgE検査で弾き出される測定結果の再現性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

犬が抱えるアレルギー疾患の原因を精査する手段の一つに、アレルゲン特異的IgE検査なるものがある。これは、どのような外因性の成分に対してIg Eが反応するかを確認するものであるが、一部の研究者によると、どうやらこの検査、再現性に乏しいようなのだ。では果たして、その再現性とは如何ほどか。それを検証した研究がドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンより発表された。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆アレルゲン特異的IgE検査の再現性◆
・アトピー性皮膚炎の犬30匹以上から血清サンプルを採取した
・そのサンプルを3分割した
・3分割したサンプルには異なる名前を記入した
・まず検査センターに分割した2つのサンプルを送付した
・翌日残りのサンプルを送付した
・検査センターは3ヶ所の候補からランダムに選んだ
・各検査センターの再現性には優劣が付いた
・3分割された同一個体のサンプルでも結果は完全に一致しなかった

 

上記のことから、アレルゲン特異的IgE検査は、時に再現性に乏しくなることが窺える。よって、1回の検査から得られた結果、あるいは、1ヶ所の検査センターから報告された結果が想定と大きく異なる場合は、再検査や検査センターの変更を検討することが望ましいと思われる。皆様が診察を担当する犬の中に、「検査結果が腑に落ちない」症例は居るだろうか。もし居るならば、アレルゲン特異的IgE検査の見直しをすると、新たな道が開けるかも知れない。

検査センターの再現性を数値化する評価制度が確立されると、犬の皮膚科診療は更に向上するのではないでしょうか。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33686751/


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