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犬の膀胱内に貯まった尿量を計測する超音波検査法に関する研究

投稿者:武井 昭紘

尿量を測る。それは、病気を患った動物の「今の状態」を把握する上で、大変に重要かことである。しかし、小動物臨床において、非侵襲的かつ正確に計測する方法は充分に確立されていないのが現状である。一方で話は変わるが、現在一部の動物病院において、被写体を立体的に観察する3D超音波装置が普及しており、犬猫の妊娠診断など、その活用範囲の拡大が期待されている。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、①3D超音波装置を用いて犬の膀胱の容積(urinary bladder volume、UBV)を計測し、その正確性を通常の超音波装置(②2D超音波装置)と比較する研究を行った。なお、同研究では、①を操作に慣れていない獣医師が、②を放射線科の獣医師が使用して、UBV(膀胱の中に入っている生理食塩水の量)が測定されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆3D超音波装置によるUBV計測の正確性◆
・①では過小評価になりやすい
・②では過大評価になりやすい
・①では最大で約10mLの誤差が生じる
・②では最大で約20mLの誤差が生じる
・①を用いた場合、計測時間は80秒
・②を用いた場合、計測時間は165秒

 

上記のことから、②よりも①を使用した方が誤差が少なく、時間も短縮されることが分かる。しかも、装置に熟練する必要も無い。よって、今後、3D超音波装置が更に普及することを願うとともに、容積計測の正確性が、胸水・心嚢水・腹水の量の測定にも応用されることに期待している。

本研究は、ビークルに協力してもらって進めたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33156977/


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