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伝染性腹膜炎に罹患した猫が発症した鼻炎

投稿者:武井 昭紘

シェルターに保護された猫に里親が見付かった。大変に喜ばしいことだ。しかし、その後、彼は呼吸器症状を呈してしまった。果たして、この猫に何が起きたのだろうか。飼育環境が変われば良くあることと言えば簡単だが、それは頭の端に置いて、しばし考えてみて欲しい。なお、以下には、実際に起きた事実(正解)を記載する。

 

診察を請け負ったコーネル大学によると、本症例は、鼻炎を発症していたという。組織学的に正確に表現するならば、化膿性肉芽腫性鼻炎となる。だが、PCR検査では、明らかな病原体らしきものは検出されなかった。一方、肺、肝臓、大腸、小腸には、伝染性腹膜炎(FIP)を疑う病変が確認されたとのことである。そして、それらの病変および腸間膜リンパ節から、FIPウイルスの存在を証明するスパイクタンパクが検出された。

これを受け、同大学は、本症例の病態を「FIPに関連した鼻炎」と位置付けた。果たして、このような現象は、どれくらいの頻度で発生するのだろうか。大々的な規模で有病率を調べる研究が進むことを期待している。

PCR検査の結果につきましては、論文をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32637147/


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